イチジクの歴史 ギリシャの人
 
 
  

いちじくは栽培果樹としてはブドウとともに最も古く、原産地に近い地中海沿岸では6000年以上前から栽培されていました。人との関わりは深く、色々な神話や物語、宗教、祭り、風俗、習慣などに登場をしています。

「旧約聖書」のアダムとイブは禁断の知恵の実を食べたことで神の怒りに触れエデンの楽園から追放されてしまいます。知恵の実を食べたアダムとイブは、互いが裸でいることに気づき、恥ずかしさから最初にまとった衣服がいちじくの葉だといわれています。また、禁断の知恵の実は一般にはリンゴ(Apple)だとされていますが、イチジクの実だという説もあるのです。Appleはヨーロッパ全体では果物全体を指す言葉であることから、物語の場所は裸でも暮らせるはずの亜熱帯のはずだから、亜熱帯で原生するいちじくこそ禁断の知恵の実では、というわけなのです。


いちじくは聖書よりも古い古代エジプトや古代ギリシャ・ローマの時代から育てられ食べられてきました。

クレオパトラの好んで食べ、ローマのオクタヴィアヌスの戦いに負けた後、いちじくの籠に忍ばせておいた毒蛇に体を噛ませて自殺をしたをいわれています。

また、古代ギリシャ・ローマでは平和と満足のシンボルとして日常の果実、軍隊の食糧として重宝されました。ギリシャ神話では、豊穣の女神デーメーテルが秋の果実を最初に人間に知らせ、いちじくと名付けたとされています。

日本にいちじくがやってきたのは? 

いちじくのふるさとはアラビアなんアラビア南部の肥沃地帯トルコ。夏は比較的高温で雨量の少ない気候に適した亜熱帯性の落葉樹です。

いちじくが日本に渡来したのは江戸時代。果樹としてではなく薬用の木としてペルシャから中国を経て長崎に伝わりました。その時のいちじくは現在でも栽培されている蓬莱柿(早生日本種)だと考えられています。薬用として伝わったため、現在でもさまざまな民間療法に利用されています。

 
イチジクの薬効と栄養は

イチジクの果実は糖度が15%ほど含まれています。ビタミンCは少なく、果樹としては食物繊維、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウムが豊富に含まれています。特にドライフルーツとなると、同じ1つの実でも、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを生果の数倍以上多く含んでいます。
 
<カルシウム>
図−1   カルシウム



 
 


 
 
<マグネシウム>
図−2   マグネシウム

 
果実は消化を助ける健胃調整薬として下痢や便秘に、また風邪や喉の痛みを和らげます。吐血、鼻血、下血にも効果があります。

葉は生葉や乾燥葉を刻んで布袋に入れ風呂に入れると、リウマチや神経痛に効果があるといわれています。乾燥葉20グラムほどを水500mlに入れて半量になるまで煮詰め、それを一日3回に分けて飲むと血圧が下がるそうです

葉や果実から出る白い乳汁はイボや水虫に1日数回塗ると効果があります。


名前の由来は?
 
いちじくは中国では「無花果(むかか)」、昔の人はイチジクのことを花なしで実る果物にみえたことからこう書かれるようになりました。昔の日本ではこれを「むかか」「いちじゅく」と呼んでいましたが、どうして今のように「いちじく」という呼び名になったのでしょうか。

中国の古典『本草綱目』(1567年ごろ)には無花果の異名として「映日果(インジークオ)」が挙げられていて、イチジクを指す中世ペルシャ語の「anjir(アンジール)」という言葉が中国で音訳されて「映日果」になり、さらに「イチジク」になったという説があります。

別の説として、いちじくが次々と実が熟していくことから、日本の古書には「1ヶ月にして熟すゆえに一熟(いちじゅく)と名付く」とあります。さらに、「一日一熟す」などからイチジクは「いちじゅく」がなまったという説もあります。


 


参考文献
『よくわかる栽培12ヶ月 イチジク』大森直樹 NHK出版 '13年刊

『イチジクの絵本』かぶもと てるひさ 農文協 '05年刊
日本園芸農業協同組合連合会『くだもののはたらき』
科学技術庁資源調査会『日本食品標準成分表』


 

 

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アブラヤ農園

佐渡島南部で苗屋を営んでいます

★イチジクの苗について★ イチジクの苗は小さくても枝自体から甘い香りを漂わせます また、元気な青々とした葉を茂らせます 実を実らせるまで苗を成長させる楽しみもさることながら 香ばしい香りと共に苗自体もお楽しみいただければ幸いです
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